バイオガスプラントの事業計画を見るときは、発電出力(kW)だけで規模を判断しないことが大切だ。建設費や運転費を大きく左右するのは、1日にどれだけの原料(t/日)を受け入れ、前処理と消化液の処理にどこまで設備を入れるかだ。出力に比べて事業費が大きく見える案件でも、実態は廃棄物処理施設としての投資であることが多い。
収入の柱
- 売電:FIT(固定価格買取)またはFIP(市場価格に上乗せのプレミアム)で電気を売る。メタン発酵ガス発電は、FITが始まった2012年度に39円/kWh(税抜)の区分が設けられ、太陽光や木質バイオマスより高い水準に置かれてきた
- 受入処理料金:食品工場や自治体などから、廃棄物を引き取る対価として料金を受け取る。原料が「買う燃料」ではなく「お金をもらって引き取るもの」になる点が、木質バイオマス発電との大きな違いだ
- 熱・ガスの販売:発電機の排熱を近くの施設に供給したり、精製したバイオメタンを都市ガス事業者に販売したりする
- 環境価値:非化石証書、J-クレジット、ガスの環境価値を示す証書など。制度ごとに対象や算定方法が違うため、二重に数えないよう整理が必要になる
- 消化液・堆肥:肥料として販売・無償提供する。収入にならなくても、処理費をかけずに済めばコスト削減になる
コストの柱
- 建設費:受入・前処理、発酵槽、ガス精製、発電機、消化液処理、建屋・臭気対策
- 運転費:人件費、電気・薬品代、発電機のオーバーホール、修繕費
- 消化液の処理費:畑で使えない分は水処理が必要で、処理設備の建設費と運転費がかさむ
- 原料の運搬費:収集範囲が広がるほど、輸送費が採算を圧迫する
事業がつまずきやすい点
食品廃棄物のプラントでは、見込んでいた量の廃棄物が集まらない、近隣の焼却施設との価格競争で処理料金を下げざるを得ない、といった「受入量と処理料金の前提」が崩れることが、経営難の主な原因になりやすい。売電単価が高くても、売電だけで建設費を回収できる設計になっていない案件は少なくないからだ。
家畜ふん尿のプラントでは、消化液をまく農地が足りるか、散布の時期をどう調整するかが課題になる。下水汚泥の消化ガス発電は、自治体が施設を持ち、民間が発電事業を担う方式も広がっている。
計画を読むときのチェックリスト
- 原料の種類と受入量(t/日・年間の稼働日数)、契約の期間と処理料金
- 発電出力・年間発電量・売電単価(FIT/FIP、調達期間)
- 消化液の行き先(液肥・堆肥・水処理)
- 熱の利用先、バイオメタン化の計画の有無
- 総事業費、補助金、資金調達の方法(出資・融資・グリーンボンドなど)
- 建設・運転・保守の体制(EPC、O&M の担い手)
BLUE NOVAの見方
バイオガス事業の評価軸は「どれだけ発電するか」より「どれだけの廃棄物を、どの条件で、長く処理し続けられるか」にある。ニュースで新しい計画を読むときは、出力より受入量と原料の契約、消化液の行き先に注目したい。仕組みの基礎は特集「バイオガス発電の仕組み」を参照してほしい。