下水処理場では、汚水をきれいにする過程で大量の汚泥が出る。多くの処理場では、この汚泥を「消化槽」でメタン発酵させて量を減らしており、そのとき出るガス(消化ガス)を発電や施設内の熱に使う取り組みが広がっている。自治体が土地や汚泥を提供し、民間事業者が発電設備を建てて運営し、売電収入の一部を自治体に支払う方式も多い。
下水汚泥の使い道
- 消化ガス発電:消化ガスをガスエンジンや燃料電池で発電に使う
- 都市ガス・車両燃料:消化ガスを精製してメタン濃度を高め、都市ガスの導管に入れたり、天然ガス車の燃料にしたりする
- 固形燃料化:汚泥を乾燥・炭化して石炭の代わりの燃料にする
- 肥料化:汚泥や焼却灰に含まれるリンなどを肥料として使う。肥料原料の多くを輸入に頼る日本では、2022年以降、国が下水汚泥の肥料利用を拡大する方針を打ち出している
食品廃棄物
食品工場、卸・小売、外食から出る食品廃棄物は、2001年に施行された食品リサイクル法で、発生の抑制と再生利用が求められている。再生利用の方法には、飼料化や肥料化と並んで、メタン化(メタン発酵によるエネルギー利用)がある。飼料や肥料にしにくい、塩分や油分が多いもの、包装が付いたままのものも受け入れられるのがメタン化の強みだ。
一方で、食品廃棄物のプラントは、受け入れる廃棄物の量と処理料金が事業を大きく左右する。焼却処理の料金が安い地域では廃棄物が集まりにくく、事業がつまずく例もある(特集「バイオガス事業の採算」)。
家庭の生ごみ
家庭の生ごみは、多くの自治体で可燃ごみとして焼却されている。生ごみを分別収集してメタン発酵させる自治体や、焼却施設とメタン発酵施設を組み合わせる「コンバインド方式」を採用した清掃工場もある。分別の手間と収集の費用、住民の協力をどう得るかが課題になる。
BLUE NOVAの見方
下水汚泥と食品廃棄物は、毎日必ず出続ける「量の読める」原料だ。人口減少で下水道や清掃工場の更新が課題になるなか、処理とエネルギー・肥料の生産を一体で考える計画が増えている。ニュースでは、処理量、ガスの使い道(発電か、都市ガスか)、官民の役割分担に注目したい。