欧州委員会が2019年12月11日に発表した政策文書(COM(2019) 640)で、欧州を2050年までに世界で最初の気候中立の大陸にすることを掲げた。エネルギー、産業、建物、交通、農業、生物多様性などの分野ごとに主な政策と工程表を示し、その後のEUの気候・エネルギー政策の枠組みになっている。
2050年の気候中立は2021年の欧州気候法で法的な義務になり、2030年に温室効果ガスの排出を1990年比で少なくとも55%減らす目標も定められた。この目標を実現する法案の一式がFit for 55で、排出量取引制度(EU ETS)の強化、炭素国境調整措置(CBAM)、再生可能エネルギー指令の改正、水素・脱炭素ガス市場パッケージなどが含まれる。
2025年には2040年の中間目標が議論され、理事会と欧州議会は2025年12月に1990年比で排出を正味90%減らすことで合意した。改正した欧州気候法は2026年3月5日に理事会が最終的に承認した。2036年以降は削減の最大5ポイントまで域外の質の高い国際クレジットを使えるとし、建物・道路輸送の排出量取引(ETS2)の開始は2028年に1年遅らせた。
2025年2月には、脱炭素と産業の競争力を両立させる「クリーン産業ディール」が示され、グリーンディールは産業政策と一体で進められるようになっている。水素では2020年7月にEUの水素戦略を示し、再エネ由来の水素を中心に産業や交通での利用を広げる方針をとっている。
出典: European Commission「Communication on The European Green Deal」(2019)、Council of the EU「2040 climate target: Council gives final green light」(2026)、European Commission「European Climate Law」