2005年に始まったキャップ・アンド・トレード型の制度で、発電・熱供給、鉄鋼やセメントなどのエネルギー多消費産業、域内の航空を対象に、排出の総量に上限を設けて排出枠を割り当て・競売し、企業どうしで売買させる。水素の製造も対象の活動に含まれる。2023年の改正で、対象部門の排出を2030年に2005年比62%減らす目標になり、上限の年間の削減率は2024年から4.3%、2028年から4.4%に上がった。
2024年からは総トン数5000トン以上の船舶にも広げられ、2024年の排出の40%、2025年の70%、2027年以降は100%が対象になる。CBAMの対象部門(鉄鋼・セメント・アルミニウム・肥料・水素など)は、2026年から無償割当を段階的に減らす。欧州委員会によると、2024年末までに発電・熱と産業の排出は2005年比で50%減った。
建物の暖房と道路輸送の燃料などを対象とする別の制度ETS2も作られた。燃料を供給する事業者に排出枠を求める仕組みで、排出の監視・報告は2025年に始まった。本格的な開始は当初2027年の予定だったが、2040年目標の合意(2025年12月)で2028年に1年遅らされた。2026年6月には、価格が1トン45ユーロ(2020年価格)を超えたときに市場安定化リザーブから放出する枠を倍にすることで理事会と欧州議会が暫定合意した。
欧州委員会は2026年7月17日、2030年以降の制度の見直し案を示した。無償割当を域内での脱炭素の投資と結びつけることや、市場安定化リザーブの吸収率の引き下げ、都市ごみの焼却の追加などが含まれ、今後理事会と欧州議会で審議される。
出典: European Commission「Scope of the EU ETS」、European Commission「ETS2: buildings, road transport and additional sectors」、Council of the EU「ETS2 market stability reserve: Council and Parliament reach provisional agreement」(2026)