EUの再生可能エネルギー由来の水素の市場を立ち上げるため、欧州委員会が作った資金支援の仕組み。中心はイノベーション基金(EU ETSの排出枠の競売収入が財源)による入札で、事業者が求める1kgあたりの支援額(固定プレミアム)の安い順に選び、認証された生産量に応じて最長10年間支払う。
第1回(パイロット)の結果は2024年4月に公表され、7件に約7.2億ユーロを配分した。第2回は2025年5月に15件・約9.92億ユーロで、スペイン、フィンランド、ドイツ、オランダ、ノルウェーの事業が選ばれた。第3回の結果は2026年5月7日に公表され、58件の応札から9件に約10.9億ユーロを配分した。電解装置の容量は合わせて約1.1GWで、10年間で約130万トンの水素を生産する見込みとされる。
第3回では再エネ由来水素(RFNBO)に加えて電気分解による低炭素水素の枠と、海運・航空向けの枠が設けられ、ギリシャとオーストリアの事業が初めて選ばれた。第4回(IF26)は2026年12月に受付を始める予定で、予算は最大5億ユーロとされる。予算の不足で選ばれなかった事業を加盟国が自国の資金で支援する「オークション・アズ・ア・サービス(AaaS)」もあり、ドイツやスペインが使っている。
もう一つの柱が域外からの輸入で、2023年にドイツのH2Globalと連携して国際的な入札を作ることで合意したが、制度の詳細はまだ検討中とされる。あわせて、水素の売り手と買い手を結びつける「水素メカニズム」が始まり、第1回では約265件の供給事業が登録された。
出典: European Commission「European Hydrogen Bank」、European Commission「IF26 Hydrogen Auction」(2026)、Hydrogen Europe「High levels of competition in 3rd EU Hydrogen Bank auction」(2026)