国際海事機関(IMO)が、国際海運の温室効果ガス排出を2050年ごろまでに実質ゼロにする目標(2023年の戦略)に向けて検討している規制である。海洋汚染防止条約(MARPOL)附属書VIの新しい章として、燃料のGHG強度(GFI)の基準と排出への課金を組み合わせる。1つの産業全体に排出の上限と課金を義務づける初めての仕組みとされる。
対象は総トン数5,000トン以上の外航船で、国際海運のCO2排出の85%を占める。毎年厳しくなる基準を超えた船は、余剰分(他の船から移転・繰り越し)か、IMOネットゼロ基金に支払って得る「是正ユニット」で埋める。是正ユニットの価格は2030年までCO2換算1トンあたり100ドルと380ドルの2段階とされ、基金はゼロ・ニアゼロ排出の燃料を使う船への報奨などに充てる。
2025年4月の第83回海洋環境保護委員会(MEPC 83)で案が承認されたが、サウジアラビアなどが反対し、米国も協議から離れて対抗措置を示唆した。同年10月の臨時会合では採択に至らず、会合を1年延期することになった。2026年4〜5月のMEPC 84を経て、延期された臨時会合を2026年12月4日に再開することが決まっている。
出典: IMO「IMO approves net-zero regulations for global shipping」(2025)、IMO「The IMO Net-Zero Framework - FAQs」、IMO「IMO net-zero shipping talks to resume in 2026」(2025)